埼玉県行政書士会熊谷支部機関誌
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報酬額の話 |
長澤 司 |
先月28日業務3部の部会がありました。部会が始まる前A先生より申請料のダンピングの話がでました。A先生が言うのには「最近、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を行っている先生の中で、極端に安い料金で手がけている人がいて迷惑している」「先生方はどの程度の料金で仕事を請けていますか?」との話でありました。
するとB先生が「手数料のダンピングなんてナンセンスですよね!うちは産廃はわかりませんが、自分の業務では埼玉県で一番高い金額で仕事を請けています。」と話されました。するとC先生も「うちもぜんぜんまけないよ!だってうちは他の事務所と違って一等地にあるんだから当然の金額だと思っているよ」というような会話になり、一時二人の先生に、私を含め残った数名の先生は圧倒されてしまいました。
そのあと二人の先生は、他の支部で活躍されている数名の先生についても、おのおのその分野での高額の報酬を提示しているはずとの話をされました。そして、それではなぜそのような報酬額を提示しているかをB先生が話し始めました。
実は数年前、規制緩和の一角として、行政書士を含め他の士業も、標準報酬額が撤廃されました。その時、報酬額の取り決めをどのようにしたらよいかが、よく話題に上がっていたようです。意見の中には、「極端なダンピングによる顧客獲得競争が、行政書士制度を崩壊させてしまうのではないか?また、その価格競争に耐えられる大きく業務を行っている事務所しか生き残れないのではないか?」というような内容のものが多かったようです。
そうこうしているうちに話の輪の中に長島現埼玉会会長が入って来て、次のようにお話したそうです。「私の考えは、今回の標準報酬額撤廃で考えなければならないのは、自分の仕事・事務所について自信をもって業務を行い、その報酬額の請求を、自信をもって行うことであります。先ほどから価格競争等の話が議論されておりましたが、ここにいらっしゃる先生方は、その得意分野において、埼玉県で一番高い請求をお客様に起こしていただきたい。
陸運事務所に近く、お客様の利便性が最高の事務所の先生。その仕事で一番高い報酬をいただいてください。街中にあり、事務所がここにあると一目瞭然でわかる事務所を開いている先生。どこよりも高い報酬を提示してください。駅の近くにあり、電車から降りると何分もかからないような、お客様の利便性を考えている事務所の先生。埼玉県一の報酬を請求してください。現在当会は年間60名から100名の新入会員が入会しております。埼玉会の会員数は1600名(現在は1850名程度)おります。あなた方埼玉会を代表する先生方の報酬額が、その他の全ての先生方の報酬額を決定します。どこよりも役所に近い事務所、どこよりも宣伝されていて一目瞭然の事務所、どこよりも駅に近く利便性のよい事務所、どこよりも得意分野をもって業務を行っている事務所の先生。どの事務所よりも高い報酬額の提示をお願いします。このような先生方が新人で登録して、やっとの思いで自宅に事務所を開いた先生より料金が安いなどということは、新しく登録し開業した先生に対する営業妨害であります。
それこそが埼玉会の崩壊・行政書士制度の崩壊につながります。いうなれば、あなた方がその他大勢の行政書士の手本になる報酬額を提示していかなければならないと思います。皆さんどうですか?私の考えは間違っていますか?」その後、そこにいた先生方は、長島会長の報酬についての見解に感動し、それまでの釈然としない事務所の報酬額の計算方法を改め、現在に至っているとの話を聞きました。
長島会長は行政書士一筋に35年以上業務を行っている先生でありますので、そのレベルから出た発想を全ての会員が即座に理解できるとは思いませんが、この話を聞いた私的には、B先生やC先生と同じように、それまで釈然としなかった報酬額についての考え方において、目からうろこが落ちる思いで一杯になりました。今後は個人の事務所の感覚だけでなく、長島会長の発想を取り入れ、行政書士全体のイメージアップにつながるような事務所経営、報酬額の検討を行うことに勤めて行きたいと思います。
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